自分の本当の父親である精子ドナーを探す女子高生と、知的障害を持つ彼女の異父兄の心の旅路を描く青春ファンタジー。監督は、下山天。桜井亜美による原作を基に、小川智子が脚色。撮影を小野寺眞が担当している。スーパー16ミリからのブローアップ。
出演:竹内結子、安藤政信、豊原功補、伊藤かずえ、范文雀
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イノセントワールド (1998)のあらすじ
日頃、頭の中で自分の名前を呼ぶ何者かの声に悩まされていた今時の女子高生・アミ(竹内結子)は、17歳の誕生日に自分が今の父親(長谷川初範)の本当の子供でないことを知る。彼女の母親(范文雀)は知的障害を持つ兄・タクヤ(安藤政信)を生んだことにショックを受け、次の子供であるアミを人工受精で出産したのだ。自分たちを物のようにしか思わない両親の愛の欠如に失望したアミは、ある日、僕のうさぎを探しているタクヤを連れて本当の父親である精子ドナーNo.307なる人物、果たしてそれが頭の中の声の正体なのかを探る旅に出る。
当時の担当医師・長塚博士を病院に訪ね、高森という男の名前を聞き出したふたりは、風車がそびえ立つ北の果て・龍飛岬で開業している高森の診療所を訪れた。そこには、ひたすら天気図を書き込む”人間感情の欠如した男”高森(豊原功補)、高森との結婚生活により人間不信に陥った妻で看護婦の啓子(伊藤かずえ)がいた。高森は冷え切った夫婦の間に突如現れたアミたちとの共同生活を受け入れるも、啓子はふたりに不信感を抱く。やがて、彼女はアミが高森の子供ではないかと勘ぐるようになり、高森にその思いを告げるが、高森は17年前に精子を提供したことをあっさり認めるのだった。こうして、自分が持つ遺伝子のルーツである人物を探しあてたアミの心は、しかし物足りなさを残していた。高森は頭の中の声の正体ではないのだ。
アミが東京へ帰る日、タクヤが海に落ちた。高森のお陰で一命はとりとめるが、その時アミは声の主がタクヤであったことに気づく。そして、タクヤの探していた”僕のうさぎ”も赤ん坊の頃のアミのことだと分かる。アミは、困難に満ち溢れた世界の中で、しかし自分とタクヤだけは強い絆で結ばれているのだと確信すると、未来へ向けてふたりで生きていくことを誓う。
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